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福岡地方裁判所 昭和35年(ワ)253号 判決 1964年3月19日

原告 日本化成株式会社

被告 日本ライトグラベル工業株式会社九州支社

主文

被告は原告のために別紙第三記載の陳謝文をB5判用紙一枚に作成して別紙第二記載の個所に送付せよ。

原告のその余の請求を棄却する。

訴訟費用は二分してその一を被告の負担とし、その余を原告の負担とする。

事実

第一、当事者双方の申立

一、「被告は原告に対して金三〇四万三一八〇円およびこれに対する昭和三五年三月二四日から完済に至るまで年六分の割合による金員の支払をせよ。被告は原告のために別紙第一記載の陳謝文を別紙第二記載の個所に送付せよ。訴訟費用は被告の負担とする。」との判決および担保を条件とする仮執行の宣言を求める。

二、請求の趣旨に対する答弁

「原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。」との判決を求める。

第二、請求の原因

一、原告は壁材(スタツコ)の生産および販売を業とするもので旧商号を日本スタツコ株式会社と称したが、商号変更により現商号を称するものである。

被告は鹿児島県古江産建築用軽石の採堀、買入、加工および販売を業とするもの、訴外鹿児島軽石工業株式会社(以下単に鹿児島軽石という。)は被告と同一の事業を営んでいたものである。

二、被告は昭和三二年一〇月一五日設立と同時に鹿児島軽石の債権および債務の一切を承継したものである。

三、原告は昭和三〇年一一月三日、鹿児島軽石との間に、原告が右会社の販売代行店の業務を行う旨、つぎのとおりの契約を締結した。

(一)  原告は北九州、中国において鹿児島軽石の製品の販売を代行し、就中福岡県では同会社は直売を行うことなく、原告がこれを専売することとする。

(二)  鹿児島軽石の製品宣伝費中、カタログは同会社の負担、同会社と原告と共催にかかる講演会および説明会費用、試験費用は折半負担とする。

四、第三項記載の契約(以下単に本件契約という。)にもとづいて、原告と鹿児島軽石との間および被告会社設立の後は原告と被告との間に、継続的に軽石製品の取引がなされて昭和三四年四月一七日までに及んだがその契約高は合計金五〇〇万円相当であつた。

また、右契約にもとづいて原告および鹿児島軽石または被告の共催で行われた説明会および講演会は昭和三〇年一一月一四日から昭和三二年三月三一日までの間に一七回、同年四月一日から以後六回におよび、原告がこれらの宣伝費に支出した経費は金二三四万三一八〇円に上つた。

五、ところが被告は昭和三四年五月六日に至つて、福岡市上西町に被告の出張所を設け、訴外合名会社渡辺藤吉商店を被告の九州総代理店として、福岡県内における製品の販売を開始した。

六、被告の右の行為は本件契約の条項に違反するものである(債務不履行)とともに、被告の販売代行店としてその製品を福岡県内で専売すべき原告の営業上の地位および信用を故意に毀損するものである(不法行為)。

七、被告の前示の行為によつて、原告は将来にわたる長期の見通しのもとに投じた宣伝費が全く無駄となつたばかりでなく、将来被告との取引によつて取得し得る確実な見込のあつた利益を喪失した。

右の宣伝費支出による損失は支出額と同額の金二三四万三一八〇円、得べかりし利益は金七〇万円を下らない。そこで原告は被告に対して債務不履行による損害の賠償として合計金三〇四万三一八〇円およびこれに対する請求の日の翌日である昭和三五年三月二四日から完済に至るまで商法所定年六分の割合による損害金の支払を求める。

また、被告の不法行為による損害の賠償にかえて、原告の信用を回復するために原告および被告の営業上交渉があつた別紙第二記載の各個所に別紙第一記載の陳謝文を送付することを求める。

第三、請求の原因に対する答弁および抗弁

一、答弁

請求原因一および三の事実は認める。二の事実中、被告会社設立の日時は認める。四の事実中、本件契約にもとづいて原告と鹿児島軽石との間に取引が行われたことは、昭和三二年三月三一日までに限つて認める。同日までに講演会、説明会が行われたことは二回に限つて認める。同日以後、原、被告間に製品の取引が行われたことがあることは認める。

その余の請求原因各事実を否認する。

二、抗弁

(一)  本件契約は昭和三二年三月三一日までの期限の定めのあるものであつた。

(二)  右の期間経過によつて右契約は終了したので、被告は、その後に至つても本件契約に拘束されるものではない。

第四、抗弁に対する答弁および再抗弁

一、答弁 抗弁(一)の事実は認める。

二、再抗弁

本件契約は、昭和三二年四月一日から期限の定めなく仕切値のほかは同一条件で黙示の間に更新された。

第五、再抗弁に対する答弁

再抗弁事実は否認する。

第六、証拠関係<省略>

理由

一、本件契約の成立

請求原因一および三記載の事実は、いずれも当事者間に争いがない。そして、本件契約にもとづいて、原告と訴外鹿児島軽石との間に同会社軽石製品の継続的取引が行われた事実も当事者間に争いがない。

二、鹿児島軽石の地位の承継

被告会社が昭和三二年一〇月一五日設立されたことは、当事者間に争いがない。

原告と鹿児島軽石との間に締結されたことについて争いのない本件契約について、被告がいかなる立場に立つかを決するためには、被告と鹿児島軽石との関係を検討する必要がある。

(一)  会社経営の状況

証人満尾久弥および同古閑敏雄(第一回)の各証言によれば、鹿児島軽石の代表取締役は訴外満尾久弥および被告代表者日置護久の両名であつて右満尾が社長であつたが、同人は現実には相談役程度の地位にしかなく、その実権は右日置が掌握していたこと、鹿児島軽石は事業不振で経営が困難になつたため別会社を設立して鹿児島軽石が行つてきた古江産軽石の採堀および販売の事業をこれに移すこととなり、その別会社として被告会社が設立されたこと、ならびに被告会社設立と同時に鹿児島軽石は休業し従業員も置かれないこととなつたことを認めることができる。更に右各証言に証人六川進の証言をあわせると、被告の代表取締役には前示日置および訴外六川進が就任し前示満尾は監査役に就任したが、その実態は依然右日置が会社の実権を有する個人会社であることを認めることができ、検証の結果によれば被告の発行株式三五〇〇株中右日置が二二〇〇株を保有することを認めることができる。以上の認定を左右するに足りる証拠はない。

(二)  諸設備の使用、管理

成立に争いのない甲第三七号証、証人鎌田幸平の証言によつて真正に成立したものと認められる甲第三五、三六号証ならびに同証言に検証の結果を総合すると、鹿児島県鹿屋市古江町の鹿児島軽石軽石採取現場はそのまま被告が引き継いで採取を続行したものと認められ、原告代表者尋問の結果(第一回)および検証の結果によれば、鹿児島軽石の砕石工場事務所、機械類および阜頭の諸設備は被告が引き続いてこれを利用し、帳簿類中被告において保管しているもののあることが認められる。被告代表者尋問および証人満尾久弥の証言中、右認定に反する部分を信用しない。

(三)  販売、宣伝事務の状況

成立に争いのない甲第七号証の三七ないし五二、原告代表者尋問(第一回)の結果真正に成立したと認められる甲第三二号各証および右尋問の結果、ならびに証人川口正敏の証言によれば、取引の事務のうえで、他ならぬ鹿児島軽石または被告の側に鹿児島軽石と被告との混同あるいは同一視が認められる。即ち、被告の設立は昭和三二年一〇月一五日であることは前示のとおりであるところ、鹿児島軽石は同月八日、原告と鹿児島軽石との取引に関して同会社が発すべき領収書を被告名義で作成し(甲第七号証の三七)、同年八月一日から同年九月二五日までの間の取引に関して鹿児島軽石が作成すべき納品書を被告名義の記名のある用紙に鹿児島軽石の印影を顕出して作成している(甲第三二号証の一ないし一三)ほか、原告が鹿児島軽石あてに発注したのに対して被告が納品書および現物を送付し、原告が鹿児島軽石あてに約束手形を送付したのに対して被告が領収書を作成送付していた事実のあることが認められる。被告代表者尋問の結果によつても、この間の事情について充分に他を納得させ得るに足りない。

更に成立に争いのない甲第一〇号の一(パンフレツト)中には被告の福岡営業所としてその場所および電話の表示があるところ、原告、被告各代表者尋問の結果によれば、右は原告会社の前所在地なのであつて、原告と鹿児島軽石との間の本件契約に基礎をおいて、原告を被告の福岡営業所と表示したものであることが明らかである。原告代表者尋問(第一回)の結果により真正に成立したと認められる甲第一〇号証の二(パンフレツト)中には被告の特約店として原告の表示があるところ、この記載もまた本件契約に基礎をおくことが明らかである。そして右パンフレツトには日本ライトグラベル工業株式会社の表示の下に(旧鹿児島軽石株式会社)の表示が認められる。そうしてみると、原告と被告との間には、原告を被告の営業所あるいは特約店とし、もしくはそのように表示するについての了解は存在していないのに拘らず、被告は、原告と鹿児島軽石との間に本件契約が存在することのゆえのみを以つて敢て右のような表示をしたものと推認されるのであつて、被告代表者尋問の結果を以つてしては、みぎの推認をくつがえすに足りない。

(四)  以上検討の結果によれば、鹿児島軽石と被告との間には一体性が種々の面で強固であつて、殊に第三者から見た場合の外観においてこれが顕著である。このような場合にあつては、両者が別個の法人格を有し、一方が他方を法律上当然に承継するという関係になくても、その実質に注目して、一方が他方の施設や継続的取引関係等を引き続き利用する以上、特段の事情のない限り、その他方の債権債務関係をも包括的に承継したものと推認すべきである。そうでなければ、取引の相手方たる第三者に不測の損失を蒙らせる危険があるのを避けがたい。

そうであれば、本件において、被告は鹿児島軽石から同会社と原告との間の本件契約上の一切の地位と債権債務を承継したものであるといわなければならない。乙第四ないし第九号証の存在は、右の結論を左右するに足らず、被告代表者尋問中、これに反する部分を信用しない。

三、本件契約の更新

昭和三〇年一二月から昭和三二年三月三一日までの間に、原告と鹿児島軽石との間に本件契約にもとづく継続的取引が行われたことについては、争いがないこと前示のとおりである。そして、本件契約が同日をもつて終了する約定のものであつたこと、ならびに同日以後昭和三四年四月一七日までの間に原告と鹿児島軽石あるいは被告との間に従来と同様の取引が行われたことがあつたことも当事者間に争いがない。

そこで問題は昭和三二年四月一日以後の取引が本件契約の更新にもとづくのか、あるいは別個の契約関係であるのか、の点である。

一般に、継続的取引契約関係は、勿論賃貸借などの場合と異つて更新拒絶の意思表示がなされなければ当然に更新される(法定更新)というものではないけれども、その継続的な契約関係の特質に鑑み、その期間経過後も当事者間に異議なく取引が継続せられている場合には、これを反対に解すべき特段の事情のない限り右の継続的取引契約は同一の条件によつて更新されたものと解すべきである。

ただ、期間の点のみは、民法第六一九条、第六一七条の規定を類推するときは、更新によつて、その定めのないものとなり、当事者が随時にその解除をなし得るに至るものと考えられる。

これを本件について見るのに、証人柴田三郎、同川口正敏の各証言および原告代表者尋問(第一回)の結果ならびに右尋問の結果により真正に成立したと認められる甲第五号証の一、二、第六号証、第九号証の一、二に前示甲第七号証の二二ないし五二、第三二号証各証をあわせると、昭和三二年四月一日以後の原告と鹿児島軽石、および同会社の地位を承継したこと前示認定のとおりである被告との間の取引は三〇件余におよぶところ、同日の前後に空隙が生じているわけでもなく、同日迄の全取引関係について清算が行われた事実も、また同日以後の取引について個別的な交渉が行われた事実もなく、価格のみを改訂のうえ他は従来どおりの条件のまま停滞なく取引が反復されたことを認めることができる。

更に、宣伝のための講演会、説明会もまた、本件契約の条項どおり費用折半のうえ異議なく行われたことを認めることができる。尤も、成立に争いのない乙第一号証および証人柴田の証言ならびに被告代表者尋問の結果によれば、原告が昭和三二年三月頃契約更新のための契約案を鹿児島軽石に送付したけれども、同会社の許に保留されて契約書として成立しなかつた事実を認めることができるが、右契約案と本件契約とは、その契約期間の点で差異があるので、右契約案に対して承諾を与えることなしに本件契約を更新して取引を続行することは、何ら矛盾するものではなく、右乙第一号証の契約不成立をもつて本件契約の更新拒絶と解すると、逆に、一方で前示認定のとおり他の条件はそのままとして価格を改訂しながらその基本契約を消滅させることは矛盾といわなければならない。そうすると、右のような事情の存在することは、契約更新の成否に影響を及ぼすものではない。

そして、さきに認定の諸事実によつて見れば、本件契約は昭和三二年四月一日以後、製品価格および期間の点を除き、その余は同一条件で更新され、そして契約の期間についてはその定めのないものとなつたものと認めるべきである。右の認定を左右し得るに足る証拠は存在しない。

四、契約違反および不法行為

証人川口の証言および成立に争いのない甲第二六号証によれば、請求原因六、記載の、昭和三四年五月頃以降における被告の福岡県内進出の事実は、これを認めるに充分であつて、これに反する証拠はない。

そして本件契約中に鹿児島軽石製品について原告が福岡県内における専売権を有する旨の条項があることは当事者間に争いがなく、被告が鹿児島軽石の本件契約上の義務を承継していることは前示二に認定の事実から明らかであるし、本件契約が更新のうえ昭和三四年五月当時もその効力を有していたことは前示三、に認定のとおりである。

従つて、被告は原告との間の本件契約上の義務に違反したものであるというべきであつて、被告は右契約違反によつて原告に生じた損害を賠償する責任を負う。

また被告は右の行為によつて、被告の製品に対する原告の福岡県内における独占的販売権を侵したものであるところ、証人柴田の証言および原告会社代表者尋問の結果ならびに弁論の全趣旨によれば、原告が右の独占的販売代行店たるの地位を喪失したことは、福岡県内外の建築関係者に対し、原告の営業上何らかの失態を生じ、あるいは被告に対する不信行為があつたかのような印象を与えたものと推認することができ、このことによつて原告は右の者等に対して有していた営業上の信用を毀損されるに至つたことは、自ら明らかであるといわなければならない。勿論、本件契約が当事者が何時でも解除し得るものであつたことは前示認定のところであるが、その手続が履践されていれば原告においてこれに対処する措置を講ずることが可能であつたのであつて、被告がその手続を経ることなしに前示の行為に出た以上、その行為は不法行為を構成するものとすべきである。

五、損害の填補

(一)  損害賠償額の算定

原告が契約違反による損害の賠償として請求する額は、被告(または鹿児島軽石)の製品宣伝に要した宣伝費の全額および得べかりし利益であるというのであるが、当事者間に争いのない本件契約内容を成立に争いのない甲第二号証および証人柴田、同川口ならびに同満尾の各証言と考えあわせると、原告は被告(または鹿児島軽石石、以下同じ)の製品の需要家からの受注にもとづいて、被告に対して必要量を発注し、本件契約に定められた代価を被告に支払つたうえで右の需要者に対して相当の価格で販売していたものであつて、被告の製品の宣伝のみが本件契約にもとづく業務ではなかつたことはいうまでもない。

して見れば、原告には、被告の製品販売によつて挙げ得た利益の存在する道理であり、その販売については原告による被告製品の宣伝も何程か与つて力があつたことは容易に推測し得るところであるから、仮に原告主張のとおりの額の宣伝費を支出したとしてもその金額を損害と見るのは相当でない。尤も、右の宣伝費が専ら被告のためにのみ用いられて、原告の販売量増加に影響がなかつた事実あるいは将来の販売量増加に向けられていて、当時まで効果の生じなかつた事実、もしくは原告の右販売が全く利益を生じなかつた事実があるとすれば、事情は別であるが、そのような特殊の事情を認めるに足りる証拠はない。

更に、甲第一一ないし第二五号各証ならびに第三〇号証を検討すると、原告が宣伝費として主張する額は純粋の宣伝費のみでなく、社員給料、事務備品費等、被告との間の取引に関する全経費中の多くを含んでいることが窺われる。

以上のとおりであるから、本件契約に関する原告の収支計算を更に明確にしなければ、原告の損害額の正確な算定は困難であつて、まして、原告主張の宣伝費(または経費)全額と同額を損害と認定すべき根拠も存在するものではない。

また得べかりし利益の喪失に対する賠償の請求についても同様であつて、原告の本件契約に関する収支が明白でないことは前示認定のとおりであるから、どの程度の利益を得ていたものであるか、あるいは得る予定であつたのか明らかでなく、ひいてはその得べかりし利益の額を算定することができない。従つて、本訴損害賠償の請求は、すべての証拠によつてもその金額の算定が不能なので、これを失当とするほかない。

(二)  陳謝文の送付

原告が被告の不法行為により信用を毀損されるに至つたことは前記判示のとおりであるから、原告はかかる損害を填補する方法として、被告に対し陳謝の方法を講ずることを請求することができると解すべきである。

ところで右の陳謝は、特定人との関係において被害者に対してなすことを請求することも、その必要があるときには可能であると考えられるから、信用回復の目的を達するために特定範囲の者に陳謝の事実を確実に知らせることを欲するというような場合には、本訴請求のように、陳謝文を特定人に送付することを求めることも許されるものといわなければならない。そして本件は、右のような特別の場合にあたると考えられるから原告主張の方法をとることは、これを相当とすべきである。そしてその方式は、特定人との関係で被告が原告に陳謝するという実質に鑑み別紙第三、によるのが相当であり、且つ、被告の行為の性質、原告の被害の状況等に照し、B5判用紙一枚にこれを作成するのを相当とする。

つぎに、その送付先については、原告が福岡県内外の建築関係者に対して有していた信用を毀損されたこと前示認定のとおりである以上、原告主張の送付先は、すべてその送付を相当とする個所に含まれることが、公知であるか、弁論の全趣旨により明らかである。

六、結論

以上、判示のとおり原告の請求は別紙第三記載の陳謝文を別紙第二記載の個所に送付することを求める限度で理由があるのでこれを認容すべきであるが、その余を失当として棄却すべきである。よつて、訴訟費用の負担について民事訴訟法第九二条を適用し、仮執行宣言は相当でないと認めてこれを付さないこととし、主文のとおり判決する。

(裁判官 内田八朔 大和勇美 宮本康昭)

別紙第一、(陳謝文)

拝啓

弊社は昭和三〇年一一月三日、福岡市大名町八八番地日本スタツコ株式会社(昭和三七年一月一日より日本化成株式会社と改称)を九州・中国地区代理店と定め弊社軽量コンクリート用軽石骨材の販売を委嘱致しておりました処、去る昭和三四年五月同社の諒解を得ず一方的に福岡市上西町一六番地合名会社渡辺藤吉本店を九州総代理店と定めました。弊社の行為は日本スタツコ株式会社に多大の損害を与え商業上の徳義を蹂躙したものであります。茲に関係各位に対し深く陳謝の意を表します。

敬具

昭和 年 月 日

鹿児島市樋之口町一五一番地

日本ライトグラベル工業株式会社九州支社

代表取締役 日置護久

各位殿

別紙第二、(発送先)

表<省略>

別紙第三、(陳謝文)

拝啓

弊社は昭和三〇年一一月三日福岡市大名町八八番地日本化成株式会社(旧社名日本スタツコ株式会社)を九州・中国地区代理店と定め、弊社軽量コンクリート用軽石骨材の販売を委嘱致しておりましたところ、去る昭和三四年五月同社に対する事前の連絡を経ることなく他に代理店を設置致しましたことは、日本化成株式会社に対して多大の迷惑を及ぼす結果となりました。茲に同社に対して陳謝致します。

敬具

昭和三九年三月一九日

鹿児島市山下町二五一番地

日本ライトグラベル工業株式会社九州支社

代表取締役 日置護久

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